伝説

河童の秘薬

昔、良庵という医者がいた。

修行を終え水戸街道を北へ向かって二日目、牛久沼が見えてきた。あまりの美しさに沼畔まで降りて沼を見ていたら、草むらに妙なものが落ちていた。それを拾い家路へと急いだ。

その夜の事である。トントントンと戸をたたく音が聞こえた。良庵は不信に思い戸を開けると小さな老人が立っていた。「私は牛久沼の河童です。手を返してください。人間のワナにかかり手を切ってしまいました。私達は代々伝わる秘密の薬があり、これを塗るとどんな怪我でも治ってしまう。だからその手を返してください。お礼に秘伝の薬の作り方を教えてあげます」と、それを聞いた良庵は半信半疑手を返してしまいました。

そして何日かが過ぎ、老人が現れて「おかげで手はもとどおり直りました。これが秘薬の作り方です」と巻物を渡しました。

良庵は巻物どおり作ってみると黒くてねばりのある薬が出来ました。ためしに切り傷に塗ってみるとたちまち治ってしまう。これは凄い、いろいろ試してみるとどんな怪我でも治ることが解った。

良庵は何でもきくこの薬を万応膏と名づけました。万応膏のうわさはたちまち広がり、たくさんの人がこの河童の秘薬で助かったそうです。その後牛久沼ではワナが取り除かれ人間と河童の交流が始まりました。

小貝川の主

牛久沼のほとりに小貝川が流れている。その川の主は河童だという。

昔は川へ入ると河童に尻ぬかれるってよくいわれ、子供の水難事故が相次いだ。ところが、ある若者が川で遊んでいる河童を格闘のすえ捕らえた。その時、河童は大怪我をした。若者は、もう二度と悪さをしないと約束をさせて逃がしてやった。しかしその河童は小貝川を遡って筑波山の麓まで泳いでいって死んだという。そしてそこのお寺で手厚く葬られたそうな。

その後、村では子供の水難事故は無くなった。

カピタリ餅

その子供は、友達から水遊びに誘われたたが、大好物の餅を食べていたから断った。

ところが、誘った友達数人は運悪く河童に引かれて皆死んでしまった。結果的に、その子だけが餅を食べていたから水難から逃れることが出来た。

その後、カピタリ餅といって、12月1日は餅をつき、おしるこにして食べたそうです。また、餅を川に流し子供の水難防止のお祈りをした。

すもう河童

若者が通りかかると、相撲をとろうとろうといってはなさない。若者がしかたなくすもうをとると、河童はヌルヌルしているので、若者はいつでも負けてしまう。

河童のこもりがふち

子供たちが泳いでも絶対安全な淵がある。おぼれそうになると必ず河童がきて助けてくれる。

河童のおくり提灯

ある人が夜更けに牛久沼の岸を通ると、前の方に提灯が見える。

その人がどんどん進むと、提灯も進む、暗い夜道を照らされて、その人は多いに喜んだ。

屁こき河童

牛久沼は今も昔も釣りの名所である。

あるとき、村の人が沼へ釣りに行くと、河童が屁をこいた。その匂いの臭いったらありゃしない。村の人はたまらず、逃げ帰ってしまった。

置いてけ沼

籠一杯に野菜を背負った百姓が牛久沼の岸を通ると、オイテケー!オイテケー!と河童の声がする。

しぶしぶ百姓は採れたての野菜を籠から下ろして家に帰った。ところが籠の中をのぞくと空のはずの籠が、うなぎや鮒など魚で埋め尽くされていた。

道理で籠は重たかったはずだ、と百姓は納得した。

河童の恩返し

心優しい百姓が河童の好物のキューリなどを沼の岸に置いておくと、翌朝、なんと!そこには海老や鮒で埋め尽くされている。

河童囃子

夏の夜更け、どこからともなく河童囃子が聞こえてくる。遠くなったり、近くなったり。

村人は何処から聞こえてくるのか不思議に思い、牛久沼の方々を探したが解らなかった。